日本の安倍晋三首相は26日、主要7カ国(G7)サミットで訪日した各国首脳を、三重県伊勢市の伊勢神宮に案内した。伊勢神宮は神道で最も大事な聖地。伊勢志摩サミットは2日間の日程。27日にはオバマ米大統領が現職大統領として初めて、広島を訪問する。
伊勢神宮への訪問については、日本の伝統的価値観の復活を求める安倍氏の支持者の意向に沿ったものだという批判もある。首相はサミット開催が決まった際、「日本の精神性に触れていただくには大変よい場所」だと話していた。
世界経済の状態やテロ対策、サイバーセキュリティー、海の安全保障、欧州の難民危機などがサミットの主要議題となる。
欧州連合(EU)大統領にあたる欧州理事会のトゥスク欧州理事会議長は26日、難民支援にG7各国の支援を求めていくと述べた。
「もし(G7が)この危機対策の先頭に立たないなら、誰もその代わりをしてくれない」とトゥスク議長は述べた。
G7伊勢志摩サミットは最終日を迎え、閉幕に先だって、討議の成果などを盛り込んだ首脳宣言を発表し、不透明感が増している世界経済を支えるため、G7各国が状況に応じて、財政出動をはじめ、政策を総動員していく姿勢を盛り込んだ「G7伊勢志摩経済イニシアチブ」を打ち出しました。
三重県志摩市の賢島で、26日に開幕したG7サミット=主要7か国の首脳会議「伊勢志摩サミット」は、27日が最終日で、閉幕に先だって、討議の成果などを盛り込んだ「G7伊勢志摩首脳宣言」を発表しました。
この中では、最大のテーマとなった世界経済の現状について、「世界経済の回復は続いているが、成長は引き続き、緩やかでばらつきがあり、世界経済の見通しに対する下方リスクが高まってきている」と指摘しています。
そのうえで、「新たな危機に陥ることを回避するため、すべての政策対応を行うことにより、現在の経済状況に対応するための努力を強化する」としています。
そして、「3本の矢のアプローチ、すなわち相互補完的な財政・金融および構造政策の重要な役割を再確認する」として、機動的な財政出動をはじめ金融政策、構造改革など、G7各国が、状況に応じて、政策を総動員して世界経済を支えていく姿勢を盛り込んだ「G7伊勢志摩経済イニシアチブ」を打ち出しています。
また、「海洋安全保障」の分野では、海洋進出の動きを強めている中国を念頭に、「緊張を高め得る一方的な行動の自制や、紛争解決には、仲裁手続きを含む平和的手段を追求すべきことの重要性を再確認する」と指摘したうえで、「東シナ海や南シナ海における状況を懸念し、紛争の平和的解決の根本的な重要性を強調する」として、具体的な海域を明記して、懸念を表明しています。
一方、北朝鮮による核実験や弾道ミサイルの発射について、「最も強い表現で非難する」として、北朝鮮に対し、今後いかなる挑発行動も行わないよう要求しています。そして、国際社会に対し、北朝鮮に対する国連安全保障理事会の制裁決議を完全に履行するよう呼びかけています。
また、拉致問題について、北朝鮮に直ちに対処するよう強く求めています。
25日夜には、日米首脳会談が開かれ、オバマ大統領が沖縄県で起きた米軍属が女性死体遺棄容疑に問われている事件について、哀悼と遺憾の意を表明した。
首脳会談後の共同記者会見でオバマ氏は、広島訪問について触れ、「第2次世界大戦で命を落としたすべての人を追悼し、私たちが共有する核兵器なき世界のビジョンを再確認し、この数十年かけて両国が築いてきた特別な同盟関係を浮き彫りにする」ことになるとその意義を強調した。
オバマ氏はこれまでに、原爆投下について謝罪するつもりはないと言明している。